Story

その夜のことを、今でもよくおぼえている。


12月。冬の寒い夜。

ひとつき後に降りそそぐ流星群をみようと、町じゅうが観測ブームに浮き足立っていた。


目立たず、誰にも迷惑をかけず、空気のように過ごすことが私の目標だった。

「え、なにその隅っこ人生」、と友人の佐伯さんは言った。

私は、隅っこ人生という言葉にうっとりした。


世間のみんなが星だ空だ宇宙だとさわいでいる今、私の興味はひたすらに地べたの石ころへむかっていた。

きっかけは、祖父からもらった古い鉱石ラジオだった。

鉱石ラジオとは、鉱石の整流作用をつかって電波を受信するラジオだ。


(その沼で岩月を私は助けた)


(岩月が気になってしまう)


(私はこのままでいいのかな)


*本作は音楽CDです